サッカー女子フィリピン代表
サッカー女子フィリピン代表は、国際サッカー連盟(FIFA)が発表するFIFAランキングで46位。※2023年7月20日現在
サッカー強豪国と言える順位ではないものの、100ヶ国以上が加盟するFIFA加盟国の中では中堅クラスに位置しています。ちなみに女子日本代表は11位、男子フィリピン代表は135位です。
近年の女子フィリピン代表の成長は著しく、2022年にインドで開催された「2022 AFC女子アジアカップ」にてベスト4に進出したことから「2023 FIFA女子ワールドカップ」の切符を手にし、ワールドカップ初出場を果たしました。東南アジアからはベトナムも初出場でした。
フィリピン生まれは1人だけ
驚くことにサッカー女子フィリピン代表にはフィリピン生まれの選手はわずか1人しかいません。なんと「2023 FIFA女子ワールドカップ」の登録選手の23人中18人がアメリカ生まれです。アメリカ以外にもイギリス、ペルー等、世界中の国々から数多くの選手を招集しています。
唯一フィリピン人の両親の元、フィリピンで生まれたメリル・セラーノ選手も育ちはノルウェーでU-23の女子ノルウェー代表に招集された経験を持ちます。
また、各代表選手が所属しているクラブもアメリカ、オーストラリア、スウェーデン、ノルウェー、アイスランド、セルビア、ブラジルを拠点とする国が並び多様です。
各選手のルーツは様々ですが、主な背景としてフィリピンが発展途上国であることからサッカー先進国で出稼ぎをするフィリピン人労働者が多いことが挙げられます。そこで生まれ、サッカーボールを蹴って育った選手を女子フィリピン代表として招集することがフィリピンサッカー連盟の戦略となっているようです。
このことは世界中から選手を招集することから「アスカルズ(雑種犬)」の愛称を持つ男子フィリピン代表にも同じことが言えます。
フィリピン生まれの選手が極端に少ないため、代表選手の選出の仕方を批判する声もあるようですが、FIFAは選手が国籍を持つ国で代表選手としてプレーすることとしており、規定上は問題はありません。
アメリカのミズーリ州で生まれた代表キャプテンのハリ・ロング選手は「フィリピン人の家庭で育ったため、私はフィリピン人と何も違いがない。代表に選ばれることは光栄である」と答えています。
また、オーストラリア人のアン・スタジッチ代表監督も代表選手がどこで生まれたかはあまり気にしておらず、サッカーが上手で国のためにプレーするのであればフィリピン代表選手の資格があると考えているようです。
ワールドカップ歴史的初勝利
オーストラリアとニュージーランドの共同開催である「2023 FIFA女子ワールドカップ」の第2戦にて、初出場のフィリピンが開催国のニュージーランドを1対0で破り、歴史的初勝利をもぎ取りました。試合が行われた2023年7月25日はフィリピンのサッカーの歴史が変わった記念すべき日となりました。
ちなみに決勝弾のヘディングを決めたサリナ・ボールデン選手はアメリカ生まれでWEリーグ(日本女子プロサッカーリーグ)でもプレー経験のある選手でした。
女子フィリピン代表は最終戦でノルウェーに0対6で敗れグループリーグを敗退してしまいましたが、ワールドカップで1勝もできずに敗退する国がある中、初出場で1勝したことは大変有意義なことでした。
終わりに
サッカーが発展途上のスポーツであるフィリピンが世界中から選手を集めてワールドカップに歴史を作りました。今後、どのような形でサッカーの歴史に新たなページを作るのか目が離せません。注目していきたいですね。